A.N.D.が気になっているモノゴトをレコメンドする [A.N.D.HOW!]
最先端のトレンドを追っかけることも素敵だけど、「まだ誰も知らない」を見つける遊びをしよう
そしてみんなと見せあいっこ、きっとこの世は遊びで溢れているはず
今回レコメンドするのは写真家のマツモトダイスケが始めた「souls」というプロジェクト。
東京を拠点に活動する様々な人間たちが「時代」というテーマに沿った文章を書き、マツモトダイスケがその文章への返答として写真を添える、という不思議な交換日記。
コンビニのネットプリント期間限定の配信、自分で出力し手に入れるという手法がまた良きです。現在vol.10まで公開されていますがこのプロジェクトはvol.100まで続けるそう。
(実はわたくしAI NISHIYAMAもvol.7で寄稿しております。)
主催のマツモトダイスケにメールインタビューをしてみました。
Q
「souls」を始めたきっかけを教えてください
️いつかやろうと思っていた【東京】をコンセプトに作品を撮ろうと思ったのが最初の動機です。
けど今さら街のスナップ写真をただ撮る気にもなれず。
そしたら鳥取の田舎から上京してきた自分にとって【東京】ってのは街や場所じゃなくて、出会ってきた人達が自分にとっての『東京』ってモノなんだと思ったので自分の周りの人達や現象を残していこうと思って「souls」をスタートさせました。
Q
参加してもらう人選はどんな風に決めているんですか?
️もとから友達やったり知り合いの人を中心に、『面白いことやってんなー、作ってんなー』とか『この人カッケーなー』って思ってた人達に声をかけさせてもらってます。
めちゃくちゃ良い意味で不良の人達、おもしろい事を知ってる人達。
あとは遊びや飲みに行った先で、初対面でもこの人オモロイなーとかヤベー奴だなと思ったらその場でお願いする事もあります。
まだ面識は無いけど参加して欲しいなって人も沢山いるので続けていく中でどっかで会えたり紹介してもらえたらなと思ってます。
でも経験上そういう人とは出会っちゃうと思う。
Q
この企画が動き出したのはコロナで今のような状況になる前からですが、日本でのコロナ蔓延以前以後で方向性や「時代」の捉え方が大きく変わったと思います。実際に上がってきた原稿に少なからず変化はあ理ましたか?
ありますね。
もちろん全員では無いけれど、やっぱり早い段階で原稿もらってた人と比べると4月以降に上がってきたものは今の状況を意識したものが多くなってる印象です。
でもどっちが良いとか悪いとかはまったく無くて、どんな原稿でも嬉しいし、今の時代に書かれた文章やからすべてがこの時代のモノなんだと感じてる。
Q
自身、これから撮っていく写真は変わっていくと思いますか?
️3.11のときもそうやったけど、世の中の価値観がひっくり返るようなタイミングなのでそれは自然にも意識的にも変わっていくと思う。前の状況には戻らないと思うし、この先の未来は素晴らしくなっていくと信じてるから新しい作品を発表する事で世の中と関わっていきたいです。
昔から時代性ってのはずっと意識してるから根っこの部分はあんま変わらないですけど。
カッコイイ音楽やアートはどんどん増えていくと思う。自分もそうなって行きたいです。
Q
「souls」は今後どんな風になっていってほしいですか?
「souls」は100人やるんやけど、100人いるから100通りの物語があるわけで、物語は死ぬまで続いていく。
10年、20年と時代が進むにつれて「souls」ってプロジェクトってか作品の強度はどんどん硬く強くなっていくと思ってる。全員が死んだ100年後の未来の時代の人達が「souls」を見たときに今の時代の空気感が少しでも伝わってくれたら一番嬉しい。
参加してくれた皆さんは未来の世の中でもバリバリに楽しくやってると思うで、自分も負けてらんないからブリバリかまし続けていこうと気合い入れて頑張っていくつもりっす。
2019年11月、年末のちょっと前。
前々からずっと『いつか撮ろう』、『いつか向き合わなくてはいけないだろーな』と思っていた【東京】をテーマにした作品を作ろうと思い、このただの企画とは呼びたくはない作品制作が動き出しました。
2020年を意識していなかったと言えば嘘になります。 しかしこれまでコンセプトを主軸とした作品づくりしかしてこなかった自分には、従来のイメージの代表格であるスナップ写真を今更撮るつもりにも、2020年に控えたオリンピックを揶揄する写真を撮る気にもなりませんでした。
考えてみたところ、自分にとっての【東京】とは場所や街ではなく出会ってきた人たちで形成されているのだと思ったからです。 鳥取で生まれ2年の大阪生活をはさみ、20歳で【東京】に出てきて14年。 2011年の震災で否が応でも価値観が変わってしまったけれど僕には作品を作り続けるしかなく、気がつけば34歳になっていました。 未来に残る作品を残したい、そんだけで。
作品のタイトルを【SOULS】と名付け、題字とデザインをお願いしている岡崎絶太郎氏に相談してみたところ、 『ヤンキー雑誌みたい』 との感想でした。 しかし未だに【東京】が自分の街だとは思えない、何かをやらかしたくてこの街に住んでいる僕には逆にシックリときてしまったのでタイトルは【SOULS】に決定。 眉間にシワを寄せていきたい。 そして【東京】で出会った、出会ってしまったとしか言いようがない、未来に向けて活動している様々な人に声をかけ、800文字以内(ざっくりですが)で"時代"というものについて文章を書いてもらい、その文章を読んで僕が撮った挿絵のような写真作品を文章と並べるというスタイルが出来あがりました。
そして2020年、誰も予想などしていなかった感染症の蔓延で作品も当初の意図とは変わっていきました。 それは誰もが同じだと思います。 当初予定していた実店舗に設置してのテイクフリー形式を先送りにして、同時に発行しようと元から予定していたセブンイレブンのネットプリントでのリリースを2020年の3月末にスタートさせました。 強度よりまずはスピード、パソコンモニターやスマホの画面ではなく、実物を手にして欲しい。 少しでも落ち着いたら本誌版の設置も開始します。 この文章と写真が生活の合間、日常の隙に入っていければと思います。 今はまず、この『SOULS』という存在を知ってもらう事が第一と考え、今もこうして活動し続けている所存です。
未来に向け、【SOULS】は時間が経つほどに強度が増していくと思います。 手にとってみてください。 言いたい事は山ほどありますが。 これも写真家としての仕事のひとつだと思っています。 100人やります。 100って数字はなんとなくです。 宜しくお願いします。 【SOULS】は集団ではなく、個の人間の集まりです。
写真家 マツモトダイスケ
vol.1 飯田団紅【切腹ピストルズ総隊長】
vol.2 細野晃太朗【在音東京】
vol.3 マヒトゥ・ザ・ピーポー【GEZAN】
vol.4 COGEE【BLACKSHEEP】
vol.5 近藤弘一【R for D /DEED FASHION代表】
vol.6 吉田山 【FL田SH / Artistic director】
vol.7 AI NISHIYAMA【NINJAS / 0120 / ANAGRA】
vol.8 UgOkamoto【CYDERHOUSE】
vol.9 きんぴら 【PrrrttyStrike】
vol.10 ヒ 【酩酊麻痺】
マツモトダイスケ/写真家
1985年 鳥取県出身
世の中に溢れている様々なテーマを用いて夢で見るようなストーリーを現実世界からサンプリングした事象や事柄、ありふれたイメージを使って写真に落とし込む。
2012年にZEN FOTO GALLERYで初個展【SEKAINOHEIWA】を開催。
同時に初の写真集も出版。
その後、同ギャラリーで【TSUMITOBATSU】、【AKARUIMIRAI】の個展と2冊の写真集を出版。
現在、東京を拠点に国内外で個展、グループ展に参加。
数々のアーティストとの共同制作など活動は多岐に渡る。
受賞歴
EINSTEIN PHOTO COMPETITION Vol.2
web→ http://daisukematsumoto.com/
Instagram→ @daisukematsumoto_damp