NOW#13 | A.N.D.TOKYO

2020年の3月以降、「自粛」とか「STAYHOME」というムードの中でSNSやオンライン通話で誰かと意図的に近況などを話す場を作ることはできますが、今までのように「あそこに行ったらたまたま会ってさ」みたいな偶然的な出会いが起きづらくなっちゃった。（そこが素晴らしいところなのに）

[ A.N.D.NOW ]では、日々モノを作ったり遊んだりしている人々に今どんな生活をしていて家で何を考え何を見ているのか。日本はどーなっていくと考えているか、少し話を聞いてみました。

芸能人やニュースキャスターや専門家じゃなくって少し距離の近い、みんなの2020年5月。

(6月になってしまった。時の流れが早くて遅い）

人間は慣れるしいとも簡単に忘れてしまう。これから先の不安定な、だけど必ず来る未来の為に。覚えておきたいことがたくさんあります。

A.N.D.NOW #13、アレキサンダージュリアン。生け花の師範そしてフラワープッシャーとして活動する傍らノイズユニットMAMMOTHのメンバーでもある。まさに唯一無二の存在だ。彼の主戦場はめちゃくちゃ広い。お花の農家から花市場、ホテルなどの大きな会場、そして地下で行われるパーティからファッションショーまで、色鮮やかに彩ってしまう！このA.N.D.NOWのインタビューでも、コロナ蔓延の時期にお花や植物を購入している人が多くいたこともあり、現在の花業界の裏話や、自身の活動について聞いてみた。

お名前と、肩書きなど教えてください。

アレキサンダージュリアン

闇花屋

Flower Pusher

生け花師範

新型コロナウィルスによって現在どんなふうに過ごしていますか?

またはステイホームでどのように過ごしていましたか？

本業が花屋で植物のバイヤーのため、5月10日の母の日前の4月は仕事で静岡や神奈川の花の産地に商談にいっていました（花がこのコロナ禍で全く売れず、産地では花が廃棄さてれおり、産地支援としての仕事の側面も）車で自宅⇄産地と行ってました。

伊豆のストレリチアの産地さん

あとは会社側からテレワークといわれても、家では仕事がはかどるタイプではないので8時に起きて洗濯、お茶漬け食べる、花の手入れ、花瓶の水換え、近所にあるジュリアンファームのチェック、花市場の相場を専用のサイトでチェック→暴落した品目は購入、ユーチューブ見る、コロナの自粛ムードの影響か性欲もなくボッキん度0パーなので、1日1回エロのサンプル動画を見るようにしてる、未来少年コナンを見ながら18時早めの晩御飯野菜を多く食べる、酒も飲むためボヤーっとしながら22時には就寝

ジュリアンファーム 5月はセントーレアが見頃でした

コロナ収束後の世界はどうなっていくと思いますか?

花業界の話をすると、花農家にとって中央卸市場が多い東京へ出荷するのは、単価が高く数多く売れるのが理由です。しかし、このコロナの影響で都内のホテルの婚礼や大型宴会が軒並み中止になってしまい、中央市場に頼ってた卸価格が下落し、未だに相場も戻らず、花から野菜農家に転農する人や圃場が多くなってきています。

JA（農協）では、同じJA内に花以外でも野菜生産のノウハウ、既存の物流ルート、出荷先、スーパーなどの販路もあるため転農しやすく、今回の下落相場で疲弊した花農家は大きな変革が求められています。

それとは逆にJA以外の個人の農家も数多く存在するのですが、その個人農家の方が野菜に変えたところで販路も生産ノウハウなく、さらに苦境に立たされている感じです。

花から野菜に一度変えてしまうと土のバランスが大きく変化するため、もう後戻りはできないと言われています。

花の種類は一年草、多年草とあり、（災害やコロナなど）リスクを回避しやすい一年きりで花が咲き完結する一年草をリレーで分けて生産する人が多くなると予想しています。

超ざっくり言うと草花みたいな可憐な季節の花は一年草。バラなどは、年月をかけて幹を成長させ生産しています。

ご自身の活動は変わっていくと思いますか？

とくに変わらず。

3月頭のコロナやばい！って真っ最中の時に、あるファッションブランドのショー（当初は客を入れる予定だったが流石に無観客になった）の1つのルックに参加していました。

よく山や荒地に入ると服にくっつく「ひっつき虫」あのイガイガしたのと「COVID-19」って同じ形だ！！と1月頃にふと気がつき、そのひっつき虫4000個を山から集め、すべてに色を塗り洋服に見立てた気持ちわるい服をつくりました。

それで本番、ランウェイでコロナさながら「ひっつき虫」をまき散らしながらウォーキングするショーを実施したのですが、その頃には徐々に感染者も増えてきて、ネタにしちゃダメな雰囲気になってきてしまい、大きな声ではコンセプトを発表できなかったので、こっそりとここで言わせてください。

種子植物は分布拡大のため、タネを撒き散らす必要がありますが、植物は動けないので、仕掛けを作って種子散布をします。ひっつき虫は先端が釣り針みたいなカギ爪状になってて服の繊維にひっかかる形でくっつく、そして人に子孫を分布させる、この形と、人や動物の粘膜に付着するコロナ表面のスパイク構造は同じってことに気がつきました！

コロナで「自由に外に出て人に会うことができない状況」になってご自身の中で「ものを作る」という行為の意味は変わりましたか？

新潟のチューリップ農家から、市場へ出荷されない廃棄されるチューリップをもらい、その花で染色したロンTを4月上旬に作ったのですが、このステイホームの状況でルームウェアも作れば良かったなと思いました。

黄色のチューリップで染めた服

SNSなどをみているとステイホームで植物を育てる人が増えたように感じました。業界的にはどうなんでしょうか？

専門的な話をすると、3月上旬は花需要よりも、ホームセンターの野菜苗の購入額のみがあがりました。花はあくまでも衣食住の住のオプションなので、食のほうに消費者が寄った感じです。

5月10日の母の日需要は、そもそも都内では店を開けられなかったため、店売りはだだ下がりだけど、ネット受注は前年の150～200%増しの店舗が多く、こんな状況で両親に会えない時こそ、花でも送るか、百貨店もあいてないし。って人が増えた様子。

実感としては、花そのものを買ってる人はさほど増えておらず、インスタにあげるネタもないので部屋の植物や花のアップが目立っただけな気もします。

更に補足すると、［1年間の県庁所在地別一世帯あたりの花の支出額］では東京都は47都道府県で32位で約10.000円、1位は福島市で19.000円の約半分です。ほかの主要都市だと、福岡市は9.700円で39位、大阪市は9.600円で40位と情けない結果で、都会人はお洒落ぶってるけど、他の都市と比較するとお花はあまり買っていません。。。