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2020年の3月以降、「自粛」とか「STAYHOME」というムードの中でSNSやオンライン通話で誰かと意図的に近況などを話す場を作ることはできますが、今までのように「あそこに行ったらたまたま会ってさ」みたいな偶然的な出会いが起きづらくなっちゃった。(そこが素晴らしいところなのに)

 

[ A.N.D.NOW ]では、日々モノを作ったり遊んだりしている人々に今どんな生活をしていて家で何を考え何を見ているのか。日本はどーなっていくと考えているか、少し話を聞いてみました。芸能人やニュースキャスターや専門家じゃなくって少し距離の近い、みんなの今。

人間は慣れるしいとも簡単に忘れてしまう。これから先の不安定な、だけど必ず来る未来の為に。覚えておきたいことがたくさんあります。

A.N.D.NOW #17人目は、グラフィックデザイナー/グラフィックアーティストでもあるTakahiro Yasuda。我々A.N.D.のロゴを制作してくれたのも彼である。近年ではFACETASMやNIKEなどファッション業界の仕事を手がける傍ら、m-floやサカナクションのアートワークからNITRO MICROPHONE UNDERGROUNDまで幅広く手がけるなど音楽シーンとも近く活動している。まさに今を生きるグラフィックデザイナーである。
そんな第一線で活躍する安田はこの時代、この空気感に何を感じているのか話を聞いた。

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Q

お名前と、肩書きなど教えてください。

安田昂弘です。フリーランスでアートディレクター、グラフィックデザイナーをしてます。

 

 

 

Q

現在どんなふうに過ごしていますか?

起床時間から就寝までの平均的な時間割を教えてください。

 

今はだいたい、

6:30-7:00

起床。

 

7:00-9:30

音楽聴きながら掃除、洗濯とか植物の水やりとか家の事をする。

 

10:00-11:00

事務所にかなり遠回りしながら都内ドライブして出勤。

 

11:00-21:00(ここ日によって全然変わります)

デザインやディレクションの仕事をガシガシする。この状況になってもちろん対面の打ち合わせはかなり減り(この二ヶ月で2-3回くらい)、ほぼ全部zoomや電話ミーティング。これが厄介で、打ち合わせの回数は増えて、意外と作業時間を確保できず。結構時間の拘束にやられてます。

 

22:00

帰宅して晩飯、飲酒。NETFLIXとか。

 

24:00-25:00

就寝。

 

っていう毎日です。

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Q

コロナ前とどう変化しましたか?

 

平日休日も夜中まで仕事して、毎晩朝方まで飲み歩いてたんで、まず外で飲まなくなったのは大きく変わりました。

確かに家にいる時間は長くはなったけど、意外と自分の場合は仕事中心の生活は変わってないっていう感じです。アシスタントたちは非常事態宣言の3月頭にはピークタイム避けてもらって午後出勤早め退社。3月末とかからもう全員自宅でリモートで仕事にさせてたんで、そこだけは大きく変わったかなと。自分は家も近いので、誰もいない事務所にいそいそ通ってます。

先にも書きましたが、遠隔のミーティングが増えて、時間の確保が逆に難しくなった印象。クライアントもみんな、家族のことだったり家事だったりをしながら仕事しているので大変そう。これはしょうがないですね。レスも妙に早かったり止まったり、なかなか物事が決まっていかないという印象です。電話代高くなった。

 

 

 

Q

コロナ収束後の世界はどうなっていくと思いますか?

(ご自身の活動含め、世の中の仕組みや、ライブハウス、クラブなどの存在など)

自分自身の仕事は、運良く今は前とそんなに変わらないです。

確実に信じられないくらいの不況になるけど、そこは悪くなれど自分の業種はどうにかなるかもと今は思ってます。単純に日常で人に直接会わないことが生活でも仕事でもこんなにストレスになるとは思わなかった。

 

もちろんクラブとかライブハウス、ギャラリーも飲食も洋服作ってる人も売ってる人も、本当みんな大変だと思う。普通に色んなものを観たり聴いたり遊べる状況に戻るのは、辛いけど本当、相当先だと思う。

 

ただ世界中どの都市もそうなってるので、新しい大きい流れというか、インフラ含めて全部変化したあとに、未体験のヤバいエンターテイメントみたいなものが生まれるんだろうなっていう期待をしてます。

 

 

 

Q

ご自身の活動は変わっていくと思いますか?

世の中の流れに大きく影響される仕事なので、世の中が動いたり変われば常に変わってしまうし、実際に普段からその変化は感じて活動してるので、震災前後も、この数年でも、色々世の中変わったなぁ。。みたいなことを感じて生活してます。

今回のコロナは今まで自分が体験した中でもかなりインパクトが大きいので、またその流れを抗わずに感じつつ、コツコツ仕事していこうと思ってます。

いろんなみんなのやりたいことを視覚化したり、デザインする仕事なので、形はどうあれ人々が欲しいもの、体験したいことある限りは、作っていたいなと思ってます。

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Q

コロナや「Black lives matter」を中心としたデモなど、世界中で大きな節目を迎えていますが、グラフィックデザインという領域ではどう変化していくと思いますか?

まずこの大きな節目以前から、デザインがより記号的に変化していく流れは感じていました。言語的ではなくなっていく感覚。そこから世界はコロナ一色、急にみんなSTAY HOMEって言いはじめ、Floydの事件が起こり、BLMは一気に大きな動きになった。目まぐるしく変化する中でデザインに強く感じたのは、デザインの非言語化かなと。

世の中が変化していることは、家にいても、SNSにかじりついていても多分多くの人が感じているはず。以前の日常生活でなんとなく触れる情報や街にあふれるデザインから、家で画面越しの少ない視覚情報を通し、より多くのことを受け手が理解しよう、感じようとするようになった。

わかりやすく危機感を持たなければならない世界になったときに、本能がはたらくというか。超動物的に「不安」に対するカウンターが「情報とデザイン」になった感じ。

抽象的だけど、これは自分にとって有益か無益か。敵か味方か。そういう意味での「わかりやすさ」が「強さ」がデザインに求められるようになる気がしいます。


 

Q

個展を開催するなど、グラフィックアーティストとしての活動もしていますが、この世界の大きな節目に、グラフィックデザイナーとしてのスタンスや気持ちに変化はありましたか?

ぶっちゃけいうとこの数ヶ月、かなり新しいものを作る意欲が低くなっていました。

いかに日々の身体的な刺激や、人にあったり遊んだり街にいたり移動したりという単純なことが、自分の制作に影響を与えていたかを感じました。この渦中、仕事は世の中の動きにタイムリーなものも多く、かなり使命的な感覚で取り組んでいたので、ギリギリバランスを取っていた感じです。

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Q

自粛期間中にした仕事や製作物などを見返して、なにか外的に影響を受けてことなどありますか?

色や形ではないけど、そのデザインによってパッと「明るくなる」感覚を形にする事が増えました。新しいデザインってクライアントにも消費者にもワクワクしてもらうべきだし、超平たく言えば希望だから、その「明るさ」っていうのは超重要なんだなと。この期間中に明確に自分の中に芽生えた感覚だと思います。


 

Q

A.N.D.のロゴデザインをするにあたって考えていたことなどあれば教えてください。

デザインはじめたのが真っ最中だったこともあり、かなり世の中の状況に影響されて作りました。このタイミングでA.N.D.をどう表現するかを考えたとき、直接的刺激を超えてより感覚的につながる感じがテーマになるかなと。

自分しかいない家も部屋も、誰にも見せなくなった被服も、自分の皮膚や血肉すらもなくなり、感覚が身体から削ぎ落とされたときに最後に残ったアイデンティティ、意識同士のみのコミュニケーション。みたいな。

んで、そこから見たことない新しい根っこがはればいいなと。

そしたらその営みによって、あれ??なにもないところから新しい顔がうかびあがってる??

みたいな事になったら素敵だなぁって思って。

そんな感じです。

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Q

インターネットで見つけられるものでオススメのものはありますか ?

NETFLIXのジョーダンのドキュメンタリー「THE LAST DANCE」は最高でした。妙にバスケづいてしまい、NBAの昔の試合とかスラムダンクとかを垂れ流してます。あとは最近のみんなが見ているようなものは大体見ました。The Midnight Gospelとか梨泰院クラスとか。

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最近何か買いましたか?
スニーカーは相変わらず買ってます。移動が車に変わって、車で聴くように欲しかったCDいっぱい買いました。あと、4月頭に家で一人で飲むから、ビールを240本買った。あとビールジョッキ導入して、家で常に冷凍庫でキンキンにしてます。240本はもう全部無いです。

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Q

美味しいテイクアウト / デリバリーなどあれば教えてください。

下北沢の「まぼねん」と「おむかい」のテイクアウトが美味いっす。それしかテイクアウトはリピートしてない。

 

Q

こういうのあったらいいなーとかってありますか?

意外と無いかもです。。。

テレビとかNETFLIXとかYou Tubeとかの視覚コンテンツ、ここまで毎日過剰に触れると、どうしても観たいものがあってもあんまり観る気にならないなあ。。ってなってきてる。

 

 

Q

今、どんなサービスがあったらいいと思いますか?

場所ベースではないコミュニケーションがかなり重宝されてしまうと思うので、特定の場所を持つ持ち方というか、場所を契約の時点で分散して契約、共有する考え方がもっと盛んになれば良いなあと思ってます。

 

 

Q

今何か告知することやメッセージなどあればお願いします。

結構先ですが、また年末に今年も個展を開催する予定です。世の中どうなってるかわからないですが、どうなっていてもその時の最適な形でアウトプットできればと思ってます。いまは粛々と仕事をしているので、そのローンチ、発売が楽しみですね!

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安田昂弘 (やすだたかひろ)

1985年生まれ。獅子座。名古屋市出身。多摩美術大学グラフィックデザイン学科を卒業後、2010年に株式会社ドラフトに入社。グラフィックデザインから映像、プロダクトデザイン、デジタルクリエイションまで、多岐にわたるプロジェクトに参加し、2015年同社より独立。クリエイティブアソシエーション「CEKAI」に所属し、アートディレクション、グラフィックデザインだけでなく、デジタル領域のデザインやプロダクト、映像監督、空間ディレクションなど幅広い分野でクリエイションをしている。国内外でのグラフィック作品の展示も積極的に行い、2019年には本人初となる作品集「GASBOOK36 Takahiro Yasuda」を発刊。人間のフィジカル的な視点とグラフィックのあり方を考察し多角的な活動を展開している。身長は189.5cm

 

TAKAHIRO YASUDA

Takahiro Yasuda is an art director and a graphic designer based in Tokyo, who is also a member of the creative association CEKAI.

His clients include the following: NIKE, JT (Japan Tobacco), Google, FACETASM, NITRO MICROPHONE UNDERGROUND, m-flo, and SOUTAISEIRIRON.

His creativity goes beyond in the areas of visual designs such as film direction, motion design, VJ, direction for digital creation, and product designs.

He has been selected as an invitational graphic designer for the Seoul International Typography Biennale “2017 Typojanchi”.

He has held his solo graphic art exhibitions since 2015 as his study to seek a visual design, which has never been seen by anyone.

https://yasudatakahiro.com/

INSTAGRAM  @takahiro_yasuda

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