世の中の価値観が変わってきていることを実感する毎日だ。次から次に様々なことが巻き起こって心がずっとざわざわしている。何を信じていいのかもうわからなくなってしまった。私は今誰かと直接会って話したい、同じ空間で同じ温度で同じ匂いをかぎたい。あなたに逢いたい。
A.N.D.は、今起きている出来事や思想を一過性ではなく継続的に向き合い、日々変わる状況によって変容する意識や意見をリアルタイムに追っていきたい。日々モノを作ったり遊んだりしている人々に今どんな生活をしていて家で何を考え何を見ているのか。日本はどうなっていくと考えているか、問いかけてみる。芸能人やニュースキャスターや専門家じゃなくって少し距離の近い、みんなの今。人間は慣れるしいとも簡単に忘れてしまう。これから先の不安定な、だけど必ず来る未来の為に。覚えておきたいことがたくさんあります。些細なことでもいい、誰かの一言がまた別の誰かにとって、意識の確認やこれからの未来を行きていく上での支えや発見になりますように。
A.N.D.NOW#25、写真家の頭山ゆう紀。ストイックなモノクロの作品には、その時流れていたであろう空気や質感が繊細に感じ取れる。私は彼女の写真のファンである。写真というものは「今」を未来に残す手段だと思っている自分は、写真家の頭山さんには今の日本がどんな風に映っているのか、とても興味があった。
4/26のパーティーのフライヤーに使った写真
Q
お名前と、肩書きなど教えてください。
頭山ゆう紀 写真家
Q
生活はコロナ前と変化しましたか? 現在の生活について教えてください。
酒を飲みすぎず、ご飯をちゃんと食べてしっかり寝ようと心がけている。
Q
ソーシャルディスタンス / オンライン通話 など物理的に会ったりできなくなったことでの精神的な距離感を感じますか?
元々すぐ家に居たがるから人と会わないことは苦ではなかったけど、ほぼ毎日友達とラインで夕飯の献立とか愚痴を言い合ったりしていたので普段より人が近くにいる感覚はあった。でもやっぱり会って話したい。
Q
ジャンル問わず「アーティスト周り」の人々の今の動き方、次のアクションはどんなものになると思いますか?
何か動いていることがあればそれも教えてください。
ネット配信等その場に行かずに観れる機会が以前より増えていくと思うけど、体感することはずっと必要だと思う。
移動時間にしたこととか考えたこととかその空気も。そこは変えたくない。
あと個人的には写真(フィルム)はお金がかかりすぎるからビデオかなと思ってる。
生魚を食べないようにしていたけどどうしても寿司が食べたくて蒸し海老寿司を自分で作った
Q
ビデオ、というのは映像作品ということですか?(以前スタジオ35分で映写機を使って展示されているのを拝見しましたが、あの感覚は少し映像という感覚に近かったような気がしました。頭山さんの写真にはいつも空気や時間のようなものが写っている気がしていて。それを映し出すには映像という手法はすごく合うんじゃないかなと思ったしとても観てみたいなと思いました。)
映像作品です。私は写真に対して"時間を束ねる・時間の積み重ねを撮る"と考えているところがあるので映像は向いているのかなと思うけど、1枚しか撮れない写真でその時間を意識するからこそ写真が合っているのかなとも思っていて、まだビデオ初心者すぎてどうなのかわからない。
Q
ご自身の中で写真を撮るという行為の意味に変化はありましたか?
特にないけど気づいたら写真を撮らずに過ごしていたから、今のこの世を残すという感覚がまるでないんだなと思った。
Q
何か今までと違うものは見えましたか?違うことを考えましたか?
金のためにやりたくない仕事や嫌なやつの下で働くことはもうやめようと思ったので、やりたいことをやって生きていこうと思った。
Q
今後、ご自身の活動は変わっていくと思いますか?
もっと作ることに集中していきたい。
5月、久しぶりに昼間散歩したら季節が変わっていて新緑がきれいで驚いた
Q
今の日本の状況をどうみていますか?
クソ政府に絶望
Q
今のこの世、に対しての思いは「クソ政府に絶望」という言葉でなんとなくわかった気がします。
私は逆に、こんな世だからこそ今思うことや感じたことを残したいと思っていたのですが、頭山さんは何か日記とか文章とか、写真以外で残しているものはありますか?
前は日記的に写真を撮ることもあったけど今はしなくなった。日記的な写真も文章も自分がダイレクトに関係してくるものは見返すと気持ち悪くなるから(そういう風にしか私が書けないから)、今は何も残していない。もっと広めに時間を見たいのかも。
放置していた家の長芋の芽が今年も自由に伸び出した
Q
今一番興味のあることはなんですか?
家付近の猫たちの関係性
Q
インターネットで見つけられるものでオススメのものはありますか ?
友達から教えてもらったんだけど、リーズーチーがひたすら何かを作る動画。
わたを収穫して布団を作ったり、自然から採れたものの活用法が凄すぎてひたすら観ていられる。
Q
最近何か買いましたか?
本をたくさん買ったけど全然頭に入ってこなくて積読しまくり。スラムダンクとブッダは大人買いして一気読みした。
Q
コロナ収束後の世界はどうなっていくと思いますか?
(ご自身の活動含め、世の中の仕組みや、ライブハウス、クラブなどの存在など)
クソみたいな金儲け好きが生き残ってしまうのは嫌だから、その逆でこれでしか生きていけないと思って作ったものや、いい場所いい店いい動きが増えて、さらに金がまわればいいのにな。
Q
今何か告知することやメッセージなどあればお願いします。
お金はないけど生きていく気満々です。
頭山ゆう紀 Yuhki Touyama
写真家 / piano and forest主催
写真集『境界線13』『さすらい』『THE HINOKI Yuhki Touyama 2016-2017』、『超国家主義-煩悶する青年とナショナリズム(中島岳志著/頭山ゆう紀写真)』など